有機反応化学分野

機能分子の合成を実現する有機合成の新手法の開発

分子を組み立てるための有機合成反応自体は、ものを混ぜるという単純な操作が基本となっていますが、その背景には分子構造を理解した上での反応設計があります。また、分子構造自体も原子の単なる配列だけではなく、全体のかたちが問題となります。このように原子配列と形を意識しながら有機合成反応開発を行なうことが、機能分子及び材料の設計に直接発展していくことになります。

本研究室では、新規有機合成反応の開発、新規有機材料の開発、新規有機合成手法の開発、そして反応場解析の4つを基礎として行ない、これらを総括して新規で有用な機能材料設計を可能にすることができる人材の育成を目的としています。

教員

  • 教授:松原 誠二郎

研究内容

有機多金属種の利用による分子構築反応

一つの炭素原子上に複数の金属が置換した新規有機金属種を開発し、有機合成への利用を検討している。たとえば二亜鉛種は一つの炭素から多方向に求核的反応をおこなう能力と、特異的なルイス酸としての能力を兼ね備えている。

水熱条件による重水素化合物の合成

高温・高圧下の水を用いて,新規重水素化反応を開発している。この方法により飽和炭化水素やポリスチレン等の直接重水素化が可能となっている。

水を用いる遷移金属触媒反応

遷移金属触媒による有機分子変換反応では、金属原子の酸化・還元過程が重要な鍵となる。この酸化・還元過程を水を用いることにより制御し、新規な触媒反応を開発している。

ナノ構造構築反応

ナノ領域での線・点・壁等の微小構造は、ナノテクノロジーの必須技術である。このような微小構造を有機合成により構築する技術を開発している。