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機能材料設計学分野

近年、ライフサイエンス、地球環境、情報通信、材料などのさまざまな工学分野でナノテクノロジーがキーワードとなり、幅広い分野へ波及する技術として種々の研究がおこなわれている。ナノテクノロジーは「ナノメートルのレベルで原子や分子を操作して、その構造や配列を制御し、物質の新しい機能や、より優れた特性を発現させるための技術」と考えることができるので、物質・材料との関わりは深い。

本研究室は、ガラス・セラミックスを中心として、トップダウン・ボトムアップ方式でナノメートル領域の電子構造や形態を制御し、新しい機能や物性を示す材料開発をおこなっている。

教員

  • 講師:西 正之

研究内容

超短パルスレーザーによる透明物質の加工と機能化

図-1近年、広帯域波長可変固体レーザーのモード同期技術や超短パルス光の増幅技術の発展にともなって、市販品としてパルス幅~100fs、繰り返し周波数1kHz、平均パワー1W程度のフェムト秒レーザーが簡単に手に入るようになった。このようなフェムト秒レーザーをほぼ光の回折限界、すなわち1μm程度のスポットサイズまで絞り込むと、そのピークパワーは~1018W/cm2にも達する。

本研究では、フェムト秒レーザーの高い電場強度により誘起される多光子過程などの非線形光学効果を利用してガラス内部の改質や3次元集積化をおこない、光記録素子や波長変換素子として有用なガラス材料の創製を目指している。

例えば、Sm3+を添加したガラスにフェムト秒レーザーパルスを照射すると、空間選択的にSm3+がSm2+へ還元される。図-1は、この現象を利用してガラス内部の異なった深さの層にアルファベットを描いた後、Sm2+による蛍光で読み出した様子である。読み出し光源はAr+レーザー(488nm)であり、この波長の光ではSm3+は励起されず、Sm2+のみの赤色蛍光が観察される。

図-1 フェムト秒レーザーパルスの集光照射により生成したSm2+の赤色蛍光でガラス内部の異なった深さ層からアルファベット(A、B、C)を読み出した様子

酸化物を中心とする無機固体の光、電場、磁場などの外場誘起による機能付与

局在したd電子、f電子の電子構造、格子振動と局在した電子との相互作用、巨視的な電気・磁気的双極子の配列に起因する磁性と光物性などに関連する問題を固体物理学・固体化学に立脚して解明し、光電子工学の分野における新規デバイスとしての応用を図ることを目的とする。

特に、無機固体における原子配列、電子構造、化学結合ならびに固体の次元性(ナノ微粒子、薄膜)や材料の不均一構造に注意を払い、無機固体において電気、磁気、光にかかわる新しい現象を見出し、それを機能材料として応用することを目指している。このような考えの下で、最近は以下に列挙するテーマに関して研究を進めている。

  1. ランダムフォトニックナノ構造を用いた光の局在化に基づく光機能材料の開発(図-2)
  2. 酸化物薄膜の合成と光および磁気機能発現
  3. ポーリングによる酸化物ガラスにおける光学的異方性の誘起と2次非線形光学効果
  4. 希土類イオンの室温ホールバーニングと高密度光メモリーへの応用

図-2
図-2 光の局在化の概念図

液相法による階層的多孔構造の設計と応用

液相法による階層的多孔構造の設計と応用液相プロセスにおいてゾル-ゲル転移と重合誘起相分離が並行して起こる条件では、スピノーダル分解が起こり易く、その結果ゲル相と溶媒相の絡み合った特徴的なスポンジ状構造(共連続構造)が発達する。相分離の開始とゾル-ゲル転移の発現を調整することにより、マイクロメートル領域の様々な周期波長をゲル構造内に凍結することができる。このゲルに適切な熟成操作を施すと整ったナノメートル領域の細孔を形成することができ、溶媒相を除去することによって階層的多孔材料が得られる。

階層的多孔材料は液相との接触プロセスにおいて、粒子充填構造よりも低圧・高効率を示す。シリカ多孔体の応用として、高速高性能分離が可能な一体型HPLCカラムが発売されており(http://www.chromolith.com)、これを微小化したキャピラリーカラムも開発されている。重合触媒を担持したカラムを用いて、重合反応とサイズ排除モードによる分子量分画を同時におこなう研究も進みつつある。粒子充填構造で発展成熟した固液接触デバイスを、格段に高効率に革新する材料として更なる発展が期待される。

図-3
図-3 階層的多孔構造の特徴と応用分野